擬似コードが「手順の文章」なら、フローチャートは「手順の絵」です。同じことを表しますが、絵にすると流れの形が一目で分かります。
覚える記号は5つだけ
- 角丸の四角(端子) — 「開始」「終了」。1本の流れの入口と出口
- 長方形(処理) — 計算や代入など、何かをする
- ひし形(判断) — 条件を書き、はい/いいえで2本に分かれる
- 平行四辺形(入出力) — 入力を受け取る、結果を表示する
- 矢印(流れ線) — 次にどこへ進むかを示す
この5つで、順次・分岐・反復のすべてが描けます。

3つの型の描き方
- 順次 — 長方形を上から矢印でつなぐだけ
- 分岐 — ひし形から2本の矢印を出し、下で合流させる
- 反復 — ひし形の「いいえ」で先へ進み、「はい」の側は処理をしてからひし形の手前に戻る
反復のポイントは、矢印が上に戻るところです。図にすると輪ができるので、繰り返しの存在が視覚的にすぐ分かります。
図にすると見えるもの
フローチャートの本当の効き目は、間違いが形として見えることです。
- 輪の中に「値を変える処理」がないと、条件がいつまでも変わらない=無限ループ
- ひし形から出た矢印の片方が、どこにもつながっていない=処理し忘れ
- 終了の記号にたどり着けない道がある=終わらない
文章で書くと見落とすこれらが、絵にすると「線が足りない」「線が戻っていない」という形で目に飛び込んできます。
例: 数当てゲームの流れ
言葉で追ってみましょう。開始(角丸)→「答えの数を決める」(長方形)→「予想を入力する」(平行四辺形)→「予想は答えと同じ?」(ひし形)。はいなら「正解!と表示」(平行四辺形)→終了(角丸)。いいえなら「もっと大きい/小さいを表示」(長方形)を通って、入力の手前へ戻る。
最後の「戻る」が繰り返しです。ここで戻り先を間違えて「答えの数を決める」の前まで戻してしまうと、予想するたびに答えが変わってしまいます。図にすればこの誤りは一目で分かります。戻り先をどこにするかが、繰り返しの設計そのものなのです。
使い分けの目安
フローチャートは万能ではありません。処理が数十行を超えると、図が巨大になって読めなくなります。実務でも全部を図にすることはありません。
- 図が向くもの — 分岐が入り組んだ判定、繰り返しの構造、全体の流れの説明
- 文章(擬似コード)が向くもの — 手順が長い処理、細かい計算
迷ったら、自分が詰まっているところだけ図にしてください。全体を描く必要はありません。第3トラックのトレース訓練でも、流れが分からなくなったらこの図に戻ると解けることがよくあります。紙とペンで10秒で描ける、というのがこの道具のいちばんの強みです。