🧩 関数とスコープ
🎯 グローバル変数の性質と危険を理解し、使いどころを判断できる
関数の外側、ファイルの先頭で宣言した変数は、そのファイルのどの関数からも見えます。これがグローバル変数です。家中の誰でも触れる、廊下に置かれた共有の棚だと思ってください。
#include <stdio.h>
int total = 0; // グローバル変数(初期値を書かなければ0)
void add(int n)
{
total += n; // どこからでも触れる
}
int main(void)
{
add(3);
add(4);
printf("%d\n", total); // 7
return 0;
}引数も戻り値もなしに値を共有できるので、一見すると便利です。寿命はプログラムの開始から終了までで、初期値を書かなければ 0 に初期化されます(static 局所変数と同じ性質です)。
なぜ「便利」に見えるのか
グローバル変数を使えば、引数と戻り値をどう設計するか考えずに済みます。書くのが速い——これが最大の誘惑です。ところがプログラムが育つほど、「速く書ける」より「速く直せる」ほうが大切になります。バグの原因を探している時間は、コードを書いている時間よりずっと長いからです。
便利さの代償
しかしグローバル変数は、規模が大きくなるほど扱いにくくなります。
total がおかしい値になったとき、容疑者はファイル中のすべての関数です。スコープが広いほど捜査範囲が広がります。そこで、外に出したくないグローバルには static を付けます。
static int total = 0; // このファイルの中だけから見える局所変数に付ける static は「寿命を延ばす」意味でしたが、グローバルに付ける static は「見える範囲をこのファイルに限定する」という別の意味になります。同じキーワードで役割が2つある、Cの少しややこしい部分です。
局所変数で足りないか、まず疑う
グローバルにしたくなったら、次の順に検討してください。上から順に「見える範囲が狭い」順です。
いちばん狭い選択肢で足りるなら、それが最善です。どうしてもグローバルを使うなら、total のような短い名前は避け、g_total のようにひと目でグローバルと分かる名前にしておくと事故が減ります。
使ってよい場面
設定値や定数のように、書き換えない共有データはグローバルでも安全です。その場合は const を付けて、書き換えを文法レベルで禁止しておきます。
const double TAX_RATE = 0.10; // 誰も書き換えられない読むだけの共有データなら、誰から見えても事故は起きません。危ないのは「みんなが書き換えられる」状態のほうだ、と覚えておくと判断しやすくなります。
まとめ: グローバル変数は「便利だが追跡しづらい」。まずは引数と戻り値でやりとりし、どうしても共有が必要なときだけ、static や const で範囲と権限を絞って使いましょう。
値を入れておくための名前付きの箱のこと。名前をつけることで中身を自由に出し入れできる、プログラムの記憶場所にあたる。変数名は自由に付けられるが、意味の分かる名前にすると読みやすいコードになる。
変数や関数がプログラムのどの範囲から見えて使えるかという範囲のこと。{}の中だけで通用する変数などが具体的な例として挙げられる。同じ名前の変数でも、スコープが違えば別々の実体として扱われる。
関数を抜けても値が消えずに保持され続ける変数を作る修飾子のこと。呼び出すたびに前回の値を覚えている特別なローカル変数になる。同じ関数が何回呼ばれても値を保持し続ける、カウンタなどに便利な仕組み。
もっと先へ:ポインタ・メモリ・ファイル入出力・セキュアコーディングを含む全26トラックと、段位検定・模試のフルセットは完全版に収録しています。