🧩 関数とスコープ
🎯 引数はコピーが渡ることを理解し、関数内の変更が呼び出し元に届かない理由を説明できる
このトピックは、第2部のポインタへ続く最重要の伏線です。ここを曖昧にしたままポインタに進むと、必ず迷子になります。
Cの関数に値を渡すと、渡るのは原本ではなくコピーです。書類の原本を手渡すのではなく、コピー機で複製を取って渡すイメージ。これを値渡しと呼びます。
#include <stdio.h>
void add_ten(int n)
{
n = n + 10; // 手元のコピーを書き換えただけ
printf("%d\n", n); // 15
}
int main(void)
{
int n = 5;
add_ten(n);
printf("%d\n", n); // 5 のまま!
return 0;
}add_ten の中の n と main の n は、名前が同じでも別の箱です。前のトピックのコールスタックで言えば、add_ten のフレームに新しく作られた n に、main の n の値 5 が写し取られただけ。フレームが降ろされれば、書き換えた 15 ごと消えてしまいます。
int も double も char も、引数は例外なくコピーされます。第3部で学ぶ構造体のような大きなデータでも、まるごと写しが取られます。渡す=写す。これがCの基本ルールです。
有名なのが「入れ替え関数が動かない」問題です。
#include <stdio.h>
void swap(int a, int b) // これは動かない
{
int t = a;
a = b;
b = t;
}
int main(void)
{
int x = 3, y = 7;
swap(x, y);
printf("%d %d\n", x, y); // 3 7(入れ替わらない)
return 0;
}コピーどうしをどれだけ丁寧に入れ替えても、原本は無傷です。
では、どうすれば原本を変えられるのか
方法は2つあります。ひとつは、結果を戻り値で返して呼び出し元が代入し直すこと。もうひとつが、原本の置き場所(番地)を渡すこと。後者がポインタで、第2部の主役になります。
int add_ten(int n) // 値を返す形なら意図どおり動く
{
return n + 10;
}
// 呼び出し側: n = add_ten(n);関数から結果を持ち帰る3つの手
初学のうちは1番だけで十分です。「戻り値は1つしか返せないのに、3つの値を更新したい」——そんな場面に出会ったとき、2番が必要になる理由が実感として分かります。
罠・注意
ここまでの話をひとことにすると、「関数の中と外は、値でしかつながっていない」ということです。第2部でポインタを学ぶと、このつながり方に新しい選択肢が加わります。そのとき「なぜわざわざ番地を渡すのか」で悩まないために、いまは値渡しの動きだけをしっかり身体に入れておいてください。
まとめ: 引数はコピー。関数の中の変更は呼び出し元に届きません。届けたいなら「返す」か「番地を渡す」。この一文が、ポインタ理解の土台になります。
関数が処理を終えたときに、呼び出し元へ返す結果の値のこと。returnというキーワードを使って、その値を指定する。戻り値の型は関数の宣言部分(int func(...)のintの部分)で決まる。
関数が呼び出されるたびに積み上がっていく、実行中の関数の記録のこと。関数から戻ると一番上から取り除かれる、積み木のような仕組み。スタックオーバーフローは、この積み重ねが限界を超えたときに起きる。
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