🧩 関数とスコープ
🎯 1関数1仕事の原則で、長い処理を読みやすい関数に分けられる
文法を覚えた次は、「どこで切るか」という設計の話です。判断の軸はひとつ、1つの関数は1つの仕事。これだけ守れば、たいていうまくいきます。
分割前のコードを見てください。
#include <stdio.h>
int main(void)
{
int t[5] = {60, 85, 40, 90, 75};
int sum = 0;
for (int i = 0; i < 5; i++) sum += t[i];
int max = t[0];
for (int i = 1; i < 5; i++) if (t[i] > max) max = t[i];
printf("合計 %d / 最高 %d / 平均 %.1f\n", sum, max, (double)sum / 5);
return 0;
}やっていることは「合計」「最高点」「表示」の3つです。名前を付けて分けます。
#include <stdio.h>
int sum_of(int a[], int n)
{
int sum = 0;
for (int i = 0; i < n; i++) sum += a[i];
return sum;
}
int max_of(int a[], int n)
{
int max = a[0];
for (int i = 1; i < n; i++) if (a[i] > max) max = a[i];
return max;
}
int main(void)
{
int t[5] = {60, 85, 40, 90, 75};
int sum = sum_of(t, 5);
printf("合計 %d / 最高 %d / 平均 %.1f\n", sum, max_of(t, 5), (double)sum / 5);
return 0;
}行数はむしろ増えました。それでも読みやすくなったと感じるはずです。main が「何をしているか」の一覧になり、細部が名前の裏に隠れたからです。
名前が説明になる
分割の効果でいちばん大きいのは、実は行数ではなく名前です。sum_of(t, 5) という1行は、中身を読まなくても「合計を出している」と分かります。コメントで補わなくても名前が説明になっている状態がゴールです。逆に、良い名前が思いつかない関数は、たいてい仕事が2つ以上混ざっています。
入力と出力を先に決める
分けるときは「この関数は何を受け取り、何を返すのか」を最初に決めます。それが決まっていれば、中身は後回しでもプロトタイプ宣言の形で書き出せます。
int sum_of(int a[], int n); // 配列と個数を受け取り、合計を返す
int max_of(int a[], int n); // 配列と個数を受け取り、最大値を返す先に宣言だけを並べて設計を確かめ、あとから中身を埋めていく。実務でもよく使う進め方です。
分けるサイン
やりすぎにも注意
1行しかない関数を大量に作ると、こんどは呼び出しを追いかける旅が始まります。「読むために5か所を行き来する」なら、それは分けすぎのサインです。また、引数が5個を超えたら設計を疑ってください。関係のあるデータをひとまとめにする道具(構造体)が第3部で登場し、引数の行列はそこで一気に片づきます。
素直な関数を目指す
同じ引数を渡したら必ず同じ結果が返り、外の世界を書き換えない関数は、読むのもテストするのも簡単です。上の sum_of max_of がまさにそれです。逆に、グローバル変数を書き換える関数や static で状態を持つ関数は、便利でも扱いが難しくなります。
判断に迷ったら「この関数だけを単体で呼んで、結果を確かめられるか」と自問してください。答えがイエスなら、その分割はうまくいっています。表示と計算が混ざっていると単体で確かめにくいので、計算する関数と表示する関数を分けるのが定番の第一歩です。
最初から完璧に分ける必要はありません。まず動くものを一気に書き、動いたあとで「ここは名前を付けられるな」と思った場所を切り出す。この順番のほうが、手が止まらずに済みます。分割は後からでもやり直せる作業です。
まとめ: 1関数1仕事、動詞で命名、短く、素直に。分割はセンスではなく、いくつかの目印で判断できる技術です。
一連の処理に名前を付けてひとまとめにしたもののこと。同じ処理を何度も書かずに、名前を呼ぶだけで再利用できる部品にあたる。printfやscanfも、標準ライブラリがあらかじめ用意してくれている関数の一種。
関数の名前・引数の型・戻り値の型だけを先に宣言しておくことのこと。関数の中身より前の位置からその関数を呼び出せるようにする。本体の定義がソースの後ろにあっても、これがあれば先に呼び出せる。
もっと先へ:ポインタ・メモリ・ファイル入出力・セキュアコーディングを含む全26トラックと、段位検定・模試のフルセットは完全版に収録しています。